AWARDS

1)土木学会デザイン賞奨励賞(2010)「由布院・湯の坪街道潤いのある町並みの再生」

【審査講評】(土木学会デザイン賞HPより引用)

まちなみをいいものにしてゆくためのプロセスのデザインをどう評価するか。これが本作品によってデザイン賞選考委員会に与えられた課題である。しかも、そのプロセスのデザインは、具体的に道路や建築物をつくることによってまちなみを整備してゆくプロセスでもない。外部資本が入り込んで無秩序になってしまったまちなみの景観を「地区住民主体で景観に関するルールを策定し、多様性を尊重しながら緩やかに景観コントロールを行ってゆく」というプロセスのデザインである。ルールの策定も運用も、行政によるトップダウンではなく、行政と住民が協働で取り組むということで、「地域で話し合って決める」という共同体意識の尊重のもとで行うということであり、プロセスデザインのなかに共同体の再構築といった困難な課題に果敢に取り組む事業である。こうした取り組みを評価する枠組みや方法自体も今後考えなければならない課題である。その意味でデザインの領域に新たな方向性を提案する事業である。(桑子)


2)K-ADC AWARD 入選(2014)「佐賀県景観読本(入門編)【景観コトはじめ】」


3)グッドデザイン賞(2015)「西鉄柳川駅」

【審査講評】(グッドデザイン賞HPより引用)

駅がどんどん変わっていく。20世紀においては、都心にも地方にも一律に「駅ビル」と称された画一的なデザインが適用されていたが、最近では都会ではTOD(Transit Oriented Development:. 公共交通指向型都市開発)や駅ナカが、地方都市でもその地の特性に合わせた丁寧な駅づくりがなされ、好感が持てる。この西鉄柳川駅も同様、駅を「みんなの居場所」へと転換することを目指したプロジェクトである。駅に不可欠な階段を上手に用いたデザインで、ほかの公共施設では見られない空間が形成されている。


4)都市景観大賞景観まちづくり活動・教育部門大賞(国土交通大臣賞)(2015)「西鉄柳川駅」

【審査講評】(都市景観大賞HPより引用)

駅を含む整備には鉄道会社をはじめ多くの主体が絡むため、そのマネジメントだけでも大変な困難を伴う。検討組織を作り上げた上で市民との協働をこれだけ充実させたことについて、関係者に敬意を表したい。特にこれまでまちづくりに関わっていなかった若手や子供たちに参加の輪を広げたことは、担い手が固定しがちな市民参加において特筆すべきことである。利活用市民ワークショップは多くの市民を巻き込んできめ細かやかに発展・展開し、プロのデザイナーと市民の協働によりクオリティの高さと手作り感が共存した空間が実現している。現地審査でお会いした方全員の顔にプロジェクトに対する自信と誇りが満ちあふれており、このプロジェクトが人の心に与えた効果を如実に現していた。本プロジェクトの実施によって、まちの構造・空間の問題が解決されたのみならず、地域を担う人材のネットワークが新たに形成されている。これまで地域に関わることが少なかった父親の役割や存在感が増し、子供たちがそこに関わることで、次世代の種もまかれている。これは景観まちづくりがめざす理想型のひとつであるといえよう。駅前利活用など次の取り組みも始まっているという。今後の息の長い活動と展開を期待したい。(福井)


5)由布市市政功労者表彰(地域振興功労)(2015)「総合まちづくりアドバイザーとしての一連の活動」


6)日本都市計画学会九州支部九州まちづくり賞(2016)「西鉄柳川駅」


7)日本都市計画学会九州支部九州まちづくり賞(2016)「五島列島・久賀島における官民協働のまちづくり」


8)土木学会 第12回景観・デザイン研究発表会 優秀講演賞(2016.12)「長崎市景観専門監の仕組みと成果 ーインハウス・スーパーバイザーのモデル的取り組みー」


9)都市景観大賞景観まちづくり活動・教育部門優秀賞(会長賞)(2018)「長崎市・深堀地区の景観まちづくり」

【審査講評】(都市景観大賞HPより引用)

深堀地区には城下町の歴史と企業社宅や県営団地が共存し,石塀など城下町の風情が残るなかで住宅の建て替えも進む 地域である。地域の皆さんが主体となって大学や市役所を巻き込みながら石塀の維持や保存の仕組みを運用し、また、ワー クショップによる広場の設計・整備が行われてきた。他にも「歴史&福祉カルタ」やオリジナルのカレンダーを住民自ら 作成するなど、まちの価値を共有し維持する体制や仕組みを上手に機能させ、空間の雰囲気作りと市民の意識向上に成果 を上げている。大学生の参画が地域の刺激になる一方、大学側にとっても隣接分野の協働が実現している。これらの多様 な活動に支えられた景観まちづくりを高く評価したい。しかしそれ以上に重要なことがある。こうした景観まちづくりの体制と合意形成や運営の仕組みは、景観のみならず防 災や福祉など地域の課題への取り組みにも適用されているのである。つまり景観が地域自治活動の一環として他の課題と 緊密に連携しながら議論されているのである。これこそ景観まちづくりが目指すべき形のひとつではないだろうか。今後も継続的にこの仕組みが機能し、城下町の景観保全、防災、福祉などを地域の皆さんが活発に議論し、かつ自ら担 い手となる自立した地域として持続していかれることを大いに期待したい。(福井)


10)土木学会 第14回景観・デザイン研究発表会 優秀ポスター賞(2018.12)「九州デザインシャレット2018 in 長崎市」


11)土木学会 第15回景観・デザイン研究発表会 優秀ポスター賞(2019.12)「九州デザインシャレット2019 in 長崎市」


12)都市景観大賞都市空間部門大賞(国土交通大臣賞)(2021)「出島地区」

【審査講評】(都市景観大賞HPより引用)

長崎の象徴、出島の復元と対岸の公園整備を一体的に実 現した、官民をあげての壮大な文化・まちづくり事業の偉 大な成果である。失われた重要な歴史的都市空間を広い範 囲で復元し、その景観を市街地のなかに再現した日本で最 初の試みと言える。発掘調査と信頼できる史料群に基づき、 丁寧に復元がなされた。次の段階で、やはり公有化された 対岸の土地を公園とし、その中程に出島に入るための表門 橋を架ける事業を実現した。縦割りを越え行政の総力をあ げた横断的な取り組み、橋・公園の基本設計から実施設計・ 詳細設計まで一括発注する形でのプロポーザルによる設計 者の選定、ワークショップを重ね市民の意見を取り入れて 公園を創り上げた開かれたプロセス。これらの画期的な 試みが市民、住民の大きな支持を得ながら、質の高い空間、 景観を生み出した。史跡に荷重をかけないよう工夫された 軽やかで美しい橋、公園の水際に曲線美を描く手摺など、 現代の先端デザインの数々が復元された出島と対比的な景 観を生み、そこに出島、橋梁、公園の夜間照明も加わって、 場所の魅力を一層高めている。観光客に人気の出島の運営、 市民が参加する各種イベント、公園での様々な活動には地 元住民、市民との協同が望ましい形で実現している。歴史都市長崎の中心部に、過去と現代が対話する素晴ら しい都市景観を創出したこの事業は、まさに大賞の名に相 応しいものである。(陣内)


13)土木学会デザイン賞優秀賞(2021)「長崎市まちなか夜間景観整備」

【審査講評】(土木学会デザイン賞HPより引用)

長崎にはこれほどの史跡があったのか、改めて認識を深めさせられた。市民にとっては見えていた日常の風景が、日が暮れるとともに一層おもむきを増しながら浮かび上がってくる、そんな感覚ではなかったか。本夜間整備は平和公園、出島、東山手・南山手エリアといった市中心部全体を対象とし、一過性の点でなく、まちの面的な総合演出を達成している。その裏には、全エリアで点灯実験による現場協議が重ねられ、丁寧な整備プロセスがあったことも特筆しておきたい。例えば平和祈念像の右手や大浦天主堂の尖塔といった重要な意味を持つ箇所には、遠方からピンポイントの照明が当てられるなど、その絶妙な位置、高さ、角度、色温度等は、各施設の象徴性や造形的魅力を見事に高めている。ライトアップ自体の主張がなく、柔らかい光によって港町長崎の個性が立体的に映し出されている。一般来訪者の中には、照明が当たっていることを忘れて夜景を楽しんでいる人も少なくないのではないか。実見の際にも美しく照らされた施設を撮影する人々に何度も遭遇した。まちの滞在型観光の魅力を高めるとともに、郷土への誇りを再認識させた土木のデザインとして、本夜間景観整備を称賛したい。(柴田)

本事業は、観光都市である長崎市中心部の総合的な夜間景観計画として、主要観光エリアの夜間景観を改善整備した事業である。本作品の議論においては「土木デザインであるのか」が大きな論点となったが、都市を面的にとらえその既存魅力を活かすこと、既にある景観を総合的な視野を持って面的に磨くことは都市計画分野以外では実現できないことであり、歴史の積み重ねを前提とする本デザイン賞の対象であるとして審査員一同から評価された。平和公園や眼鏡橋、出島など主要な観光エリアにおいて、その周辺の夜間景観を広範囲に見直しており、各所を訪ねてみたくなる観光魅力が整備された。また、その手法はランドマークのライトアップや手すり間接照明、小さなあかりの付与など静かで控えめともいえる上質なデザインであるが故、住まう人にとっても愛着と誇りをもてる豊かな日常環境が生み出されている。都市の夜間景観の重要性が語られだして久しいにも関わらず景観法の中にその項目が無いこともあって都市全体としての夜間景観整備に取り組んでいる自治体の数はまだごく少数である。本事業の受賞がそういった未着手の都市における1つの指針になればと切に思う。(長町)


14)都市景観大賞景観まちづくり活動・教育部門大賞(国土交通大臣賞)(2023)「長崎の歴史文化を生かした夜景まちづくり」

【審査講評】(都市景観大賞HPより引用)

平和を次世代に伝えようとする市民による「平和の灯」 運動と経済活性化を目指す民間事業者による「ランタン フェスティバル」の「夜景まちづくり活動」はすでに 30 年にわたる歴史がある。また長崎市は、市民が誇りを持ち 観光客が堪能できるような美しく親しみやすい夜間景観を 創出するために「ライトスケープ基本計画」を策定し、平 和公園、眼鏡橋、中華街、稲佐山山頂の眺望スポット等に おいて、各地域の地形や歴史にふさわしい個性的な夜景に よる魅力演出を図っている。さらに、商工会議所等 16 団体 は「長崎夜景プロモーション実行委員会」を組成し、夜景 のテーマ曲作成や稲佐山山頂電波塔ライトアップなどを実 施し、夜景観光を主目的にした観光客増加による高い地域 経済効果に貢献している。

このような夜間景観を中心に据えた公民連携のまちづく りの展開は、日本ではまだ事例が少なく、長崎での取り組 みは極めて先駆的かつ独創的であり、景観デザイン技術の 進展にも大きく寄与している。以上のことから、大賞にふ さわしいと評価する。(卯月)