Policy

【地域の価値を高める場づくり・人づくりのコーディネーター】

 地域で行われる事業は、行政機関等の管理上の都合、民間企業の経営的利益、市民の自己実現の追求などの縦割り的な関係を超えた協力関係のマネジメントが必要です。行政側は地域の価値を高めて民間による投資を呼び込むような公共事業を進めていくことが求められており、一方で民間は経営的利益や自己実現にとどまらない地域全体の価値向上へ貢献する取り組み(ソーシャル・ビジネス)が求められています。

 公共事業によって整備される空間の価値を高めるためには、「公共空間のデザインの質の向上」と「整備後のまちづくりにおける利用」を一体的に検討する、市民・行政職員・専門家の協働による「体制」と「プロセス」をコーディネートすることが重要な要件となります。そして、それを担う行政職員の意識やスキルの向上と良識ある専門家の参加が必要となります。

 一方で、民間企業や市民による地域の価値向上に向けた取り組みを誘発するためには、地域における既存の意思決定構造を超えた新鮮な「関わり合い」を生み出し、地域のために何かをやりたいと思っている人々が動きだす「きっかけづくり」が重要な要件になります。特に、行政側が公共事業によって大きく地域環境を改善する時が、この「きっかけ」として大きなチャンスであると考えています。またそうした市民発の動きを支える規制緩和も同時に重要な課題です。

 これら双方の観点を車の両輪のように意識しながら、公共事業のプロジェクトマネジメントにおけるコーディネーターやディレクターを務めてきました。


【ローカルな景と場をデザインする】

 地域の価値を高めていくためには、地域のオリジナリティを大事にすることが重要です。オリジナリティを考える上での源となるのは、その語源である「オリジン=地域の起源」であり、その地域の歴史や自然特性を十分に理解し、その上に未来を描くことが重要となります。

 一方では、地域がどのような人にとってどのような価値を持つことが地域の持続性を高めるのか、また、その目標設定は実現可能なのか、と言った観点からも地域戦略を検討し、描き、評価検証していくことも重要です。したがって、「計画」や「体制」は常に変容させながらマネジメントするものであり、それらを含めて「プロセス」と捉えるのがよいと考えています。私が専門としている「景観」や「デザイン」という技術についても、地域戦略の実現に貢献するための観点やツールであると考えています。

 できる限り国家や資本の都合に流されずに「地域」の目線に立ち、地域の方々が話し合ったり、ともに活動する「場」をマネジメントしつつ、その舞台となったり、成果としてできあがる公共空間(場)をデザインすることで、ふるさとの風景や地域のブランドを少しずつ良いものにしていく意識が重要であると考えています。